スーパーティーチャーK

勤務しているひとつの小学校に、新採2年目ながら、ほとんどスーパーティーチャーの域に達しているのでは、とひそかに私が思っている先生がいる。仮にK先生、としよう。

K先生のクラスにも多動を含む発達障害を持つ子どもが数名いるが、教えてもらわないとどの子かわらない。

私は、週に1回、その先生の授業を見学するのが楽しみだ。
私が楽しみなぐらいだから、そのクラスの子どもたちが楽しみでないはずがない。
事実、その先生の授業がおわると、子どもたちから「もうおわっちゃったよ」とか「はや〜い」という声が聞かれる。
私も、非常に勉強になることが多い。
この若さで(というか年齢は能力に本当に関係ない!)ニクイほど出来るK先生のヒミツをさぐろうと、毎週潜入調査をしているのダ。

その先生のすごいところを思いつくまま列挙してみると、

授業の地と図がハッキリしている。
指示が具体的で端的。
よけいなことは言わない。
えー、とか、あのーとか言うことがない。(発達障害の子どもたちは、よけいなことばが入るとますます分からなくなってしまうのだ。)
授業でつかうことばを厳選していることが伺える。

授業のテンポがいい。
授業の中で時々、立ったり、座ったりができる。(立って音読など)

発達障害の子にも、必ず指名(答えられる問題を)。

そしていつも、スマイル。サワヤカ〜!
人は見た目が8割というが、そういう意味でもK先生は得しているとは思うが、生まれて持った素材がいいだけではない。
逆に笑うとイイ男なのに、残念だな、と思える先生も結構いる。

「教師はアクター、アクトレスであれ」とはコミュニケーションセラピストのカニングハム久子先生の言葉だが、K先生はまさにそれだ。
体の筋トレと同じように表情のトレーニングもしているにちがいない、と勝手に思っている。(←こんど聞いてみよう)

K先生が子どもをしかったりする場面はほとんどない。
ましてやどなったりすることは見たことがない。
威圧的な手段をつかわなくても、子どもたちをひきつけることができるのだ。

先日も、運動会の全体練習で入場行進を指導されているところを見学した。

「みなさん、いいですねー。すばらしいですよ。」
「一回目でこれだけできるのなら、もっとできるはず。」
「今度はひざをここ(横向きになって実演)まであげるように意識してやってみましょう。まずはその場でちょっとやってみましょう。」
「はい、では、もう一回もとの場所にもどって入場の練習をします。」

並みの先生なら
「オマエラー!やる気あんのかー!上がらん足なら切ってしまえ!ふれん手ェなら切ってしまえ!」
「全員ダルマになりますな。」(老教師の突っ込み) by 笑いの文化人講座

となるところだが、K先生の指導は、お決まりの罵声は一切なし。
そして同時に多くのことを要求しない。

「一時にひとつだけ」、の原則に基づいて、
一回目はとりあえず、歩いてみる。(コースの確認)
二回目は足を上げることを意識して
三回目は顔をあげて歩くことを意識して歩く。

こういうことは、いろいろな指導書や発達障害の関連の本にも書いていることだ。
あたりまえじゃないか、そんなこと知っているよ、という方も多いだろう。

しかし、実際に「実行する」というところが大変なのだ。
「知っているのとやるのは大違い」ということはよく言われるが、本当にそうだなー、と思う。
できる人とそうでない人の違いというのは、能力的にはそう差はなく、「やるか、やらないか」の違いだ。
 K先生の実践を見ていると、今年こそ、英語を勉強しよう、と決心しつつ、ほとんどなにもしていない自分を振り返って、トホホ・・・

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プロフィール

Author:五百旗頭真子
元文化人のスクールカウンセラー。
カウンセリングのこと、
特別支援教育のこと、
自分の子育て(3人)のことなど。

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