うどんを打つ白雪姫

実家の部屋を整理していたら、子どものころ読んでいた、ディ○ニーの白雪姫のアニメ絵本がでてきた。
白雪姫がこびとたちのために食事を作るシーンの絵を見て、私は、
白雪姫は「うどん打っちょるんやなー」となんとなく思っていた。

母がうどんを打つすがたを日常的に目にしていたので、麺棒は日本のものと形がちがうが、うどんなんだろうと当たり前に考えていた。

今となっては、外国なんだから、まさかうどんではないだろうということはわかるが、うどんでないとしたら、なんだろう?
パイ生地かなんかその類なんだろうか。

知っている人がいたら教えてほしい。

でも、このように和田邦坊画伯の絵と並べてみると、ますますうどんを打っているようにしか見えないのだ。
山田家おじさん小     うどん打つ姫君

『蟹工船』と『からすたろう』

からすたろうからすたろう
(1979/05)
八島 太郎

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『からすたろう』の作者、八島太郎氏のことを
しらべていたら、この人は
少し前からブームになっている『蟹工船』の作者、
小林多喜二と親交があったそう。
小林が特高で拷問の末亡くなり、亡骸が自宅にもどってきた際、その
死に顔をスケッチし、デスマスクを作成したとのこと。

八島氏自身とその妻も(身重だった)何度も投獄され、
拷問を受けた。
そんなことから日本が嫌になり、アメリカにわたり、アメリカで作家活動を行った。
名作『からすたろう』も元はアメリカで出版され、戦後日本語訳が出版された。

今、新潮文庫からでている『蟹工船』の表紙は、初版のものだそう。
今見ても、斬新。アバンギャルド!!
蟹工船・党生活者 (新潮文庫)蟹工船・党生活者 (新潮文庫)
(1954/06)
小林 多喜二

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蟹工船が共感をもって読まれる、自殺者3万人という、
日本という船そのものが「蟹工船」なのかもしれない。

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『貧困と学力』 3

『貧困と学力』 岩川直樹・伊田広行編著 明石書店 
に紹介されたケースの中で、発達障害の診断があるケース。

「学童保育の場での人間信頼の取り戻し」 埼玉県飯能市原市場が工藤保育指導員 河野伸枝著 より

「オレは学校で先生に恥をかかされた。学校なんか行きたくねえ!」
と学童保育にきて暴れる、母子家庭のヒロシのエピソード。

以下引用
5年になってからの学童でのヒロシのようすをひととおり伝えると、
〜中略〜
担任の先生から話されたことは、

彼は、読み書きが劣っています。読み書きについてはクラスでいちばん劣っています。それは本人の努力の足りなさです。
それから、偏食が多く給食で野菜を食べないので、からだが成長する時期でもあるので、指導しています。
彼は甘えがあるので、克服できないんです。
足はクラスでいちばん速いのですが、彼はそれを何かに生かすと言うことはできません。」
比較評価上の否定的なことばのみが発せられた。

私はヒロシが学校で恥をかかされたと言い放っていたことが気になっていたので、思い切って担任の先生に、そのときの状況をたずねた。

本読みのとき、手をあげない子どもがいるので、こういう子どもにも(読みの)経験をさせるためにわざと当てます。
彼を当ててよませたら、あんのじょう、家で練習をしていないからまったく読めなかったんです。
だから1日立たせたんです。

それを、自分の努力のなさを棚に上げて、恥をかかされたと人のせいにする、彼はそういう子なんです。」

〜中略〜
「学力のなさは、本人の努力のなさ」と言い切ったら学校の教師の仕事は何?と言いそうなことばをギリギリで飲み込んだ。ヒロシが学校で、力のなさは努力のなさと責められ続づけ、かといって手助けを受けるでもなく、学力のみで存在そのものまで否定され、ヒロシはすでに見捨てられ感を抱いてきたんだろう。
家でも複雑な関係のなかで気を遣い、学校では不安を抱えながら、息を潜めて生活しているにもかかわらず、力がないことを傷めつけられ、追い詰められ、どこにも行き場を失ったヒロシのからだを張っての精いっぱいのおとなへの訴えではないかと思えた。

引用おわり

後に、ヒロシは、河野氏が専門医に相談したところ、「学習障害があり、自信をなくし2次障害を引き起こしていることが考えられる」とのことであったという。
ヒロシの担任の先生の言葉を、ディスレクシアの当事者であり、特別支援学校教諭である神山忠さんが読んだら、どう思われるだろうか?
この担任の先生とのやりとりが、願わくは、10年以上昔のことであってほしい。


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『貧困と学力』 2  

『貧困と学力』1 のつづき

『貧困と学力』 岩川直樹・伊田広行編著 明石書店 を読み進めていると、

執筆者らの実体験にもとづいた話に登場する子どもたちや、その母親たち発達障害を思わせるエピソードが見え隠れする。はっきりそのように診断されたケースもあるし、そのような記載がないものもある。

そのうち、後者の例。

「学び始めた母親たち」 立教大学準教授 湯澤直美 著
より

中学卒業後、地方から上京し、住み込みで働き、結婚したものの、土木現場で働いていた夫が仕事中に事故に遭遇、母子家庭になった女性、Dさんのエピソード。

以下引用
「新聞配達、弁当屋さんの仕出し、製造工場の組立作業、出来る仕事はなんでもやってきた。決して手抜きはしない、そのことがDさんの自慢でもあり、誇りでもあった。そんなDさんにも、苦手なこと、いやなことがひとつあった。

転職のために履歴書を書くこと

〜中略〜

職場の上司から、栄養士の資格を取れば常勤で働くことができると言われたという。
「そんないい話はないのだから、がんばってチャレンジしましょうよ。」
と喜ぶスタッフのかたわらで、Dさんはことばを選んでいた。
よいチャンスだと思うのは当然だが、

「ほんとうは新聞を読むのもむずかしい」

という。
日常生活はこなせていても、

読めない漢字や意味が取れない文章がたくさんあって困っている

というDさんにとって、資格への挑戦は高い壁に映っていたのであろう。
逡巡する日が続くなか、スタッフといっしょに、テキストを使って栄養士の勉強を始めることになる。

「息子にも読めない漢字とかは質問できなくてね」

「こっそり息子の教科書を借りて勉強してみた時期もあるのだけど、ひとりじゃむずかしてくてね」

引用終わり

湯澤論文は、社会福祉の立場からの視点なので、ディスレクシアとかLDとか読み書き障害といった記載はないが、明らかにDさんは、ディスレクシアだろう。

貧困家庭にそだち、夫の事故、母子家庭、非正規雇用という不利な条件に加えて、ディスレクシアという特性。
これだけの困難を抱えながら、まじめに生き、前向きな姿勢を失わなかったのは、奇跡といえよう。

ディスレクシア自体は、必ずしも「障害」ととらえなくてもいいかもしれない。
しかし、栄養士の資格を取ろうとするDさんにとって、読みに困難があることは、あきらかに「障害」となって、Dさんの行く手を阻むのは間違いない。
なぜならば、現在のところ、栄養士の試験が、試験問題の読み上げが認められるとか、口述でもみとめられるとか、時間の延長などの配慮があるとは思えないからだ。

再び湯澤論文より引用
テキストを読み込みながら、学びへの思いの歴史がポツポツとことばにされた。
「学びなおしたい」という思いが、日に日に強くなっていったDさん。
「学びは向上心。誰の中にもある気持ちなのだと気づきました。」と語っている。

引用終わり

湯澤論文はここで終わっている。
2009年は、生活保護の母子加算が全廃される年だ。政府はその代わりに「就労支援の充実」をうたっている。しかし、肝心の資格試験において配慮がみとめられなければ、いくら支援をしても、入り口の扉はしまったままだ。

Dさんは、その後、栄養士の資格をとることができただろうか?

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『プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか? 』

『プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか? 』
メアリアン・ウルフ (著), 小松 淳子 (翻訳) 出版社: インターシフト

プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?
(2008/10/02)
メアリアン・ウルフ

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昨年のLD学会で講演されたマリアン・ウルフ(この本ではメアリアンと表記されています)先生の著作です。
去年の講演の際には「翻訳中」とのことでしたが、いよいよ発売されました。
早速アマゾンで注文〜♪

昨年の講演を聞いた私の記憶では、

「プルーストとイカ」という変わったタイトルは、
「人は書かれたことを読むことによって、書かれたもののもっと先へ(その著者でさえ気がつかなかった)進むことができる。」というプルースト(原文ママではありません)の言葉から、

イカは神経心理学の基本、(フロイトは最初イカの神経細胞を研究していた)ということで、
こういうタイトルにした、というお話でした。

また印象に残ったのは、

「文字を読む」ということに特化した遺伝子はまだ発見されていない!
しかし、「音韻」に関係する遺伝子は発見されている。
人が文字を読むためには、こうした既存の遺伝子を複数組み合わせて、ネットワークを作っていると考えられる。


講演中、思わず、「へーっ!」と声に出して言ってしまい、ちょっと恥ずかしかったです。

ということでした。最新の研究ではこんなことまで分かっているのですね。
ディスレクシア研究は今最もホットな領域ではないでしょうか?!
本が届くのが楽しみです。

↓目次です。

■ Part 1 脳はどのようにして読み方を学んだか?
第1章 プルーストとイカに学ぶ
第2章 古代の文字はどのように脳を変えたのか?
第3章 アルファベットの誕生とソクラテスの主張

■Part 2 脳は成長につれてどのように読み方を学ぶか?
第4章 読字の発達の始まり それとも、始まらない?
第5章 子どもの読み方の発達史 脳領域の新たな接続
第6章 熟達した読み手の脳

■Part 3 脳が読み方を学習できない場合
第7章 ディスレクシア(読字障害)のジグソーパズル
第8章 遺伝子と才能とディスレクシア
第9章 結論:文字を読む脳から「来るべきもの」へ

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プロフィール

Author:五百旗頭真子
元文化人のスクールカウンセラー。
カウンセリングのこと、
特別支援教育のこと、
自分の子育て(3人)のことなど。

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